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茜姫が親の決めた婚姻を嫌がって、
月を飛び出してきた話を紫苑や藍花としていた時、 司はだいぶ離れた場所に移動していた。 茜姫は司には聞かれていないと思っていたのだが、 飛行民族は元来遠くの音まで聞こえるので、 紫苑たちの会話は司には筒抜けであった。 しかし、 何も知らないといった素振りで、 司はただ茜姫の泣き止むのを、 じっと待つことにした。 トクントクンと二人の鼓動が重なって、 司の顔がみるみる赤くなっていった。 椋は『ははーん!』と言って薄笑いをすると、 「じゃ、後は、司、よ・ろ・し・く!」 そう言って、その見事な翼を羽ばたかせ、 そのまま飛んでいってしまった。 「恋か……どんなものなのか? 僕にも心沸き立つような…… そんな恋が訪れるのだろうか?」 風を頬に感じながら、数度旋回して、 椋は海に浮かぶ小島に降り立った。 「ほお、本当に地球と同じなんだなあ。 それにこの海の青さといったら…… 何もかも澄み切っているなあ」 のんびりと海を眺めていると、 沖の方が泡立ち始めたかと思うと、 ドドド……ドドド…… その轟きと共に大きな波がこちらに向かってやってきた。 その時,波間に何かが跳ねるのを、しっかりと椋は見ていた。 テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学 |
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