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「椋、こっちよー……ほらほら……
捕まえてごらんなさい。 かわいいアタクシの息子」 そう言って、蔦の冠を付けた女性は、 追いかけっこをする息子を、 歩みを止めて、ぎゅっと抱き締めた。 そして産毛がキラキラした、 自分の息子の額に接吻をした。 「あぁー何て気持ちが良いのだろう。 この甘い匂いは何だろう? ずっと……このまま……包まれていたい。 あぁー母さまー……」 手を伸ばしてみた。 そこで椋ははっと目が覚めた。 横たわっていた身体を起こすと、 波の音だけが椋の耳に聞こえてきた。 「夢だったのか……」 ズーンと気持ちが落ちて…… しばらく途方に暮れていた。 病弱であった椋の母親は、 椋がまだ7歳の頃に既に他界している。 数少ない思い出しか残っていないが、 穏やかで優しい母親であったことは、 しっかり心に刻み込まれていた。 不思議と椋が困っている時や、 悩んでいる時に、必ずといっていい程、 母親の夢を見るのだ。 そして…… その後はだいたい難を逃れている。 「また、母さまに助けて貰ったんだね」 そう独り言を呟いて、 母親譲りのみごとな深い緑の髪を掻きあげた。 テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学 |
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【2008/05/12 05:50】| | #[ 編集] |
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