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「何が起こったというの?」
一連の出来事が風の様に通り過ぎて、 少女はただ立ち尽くすのみだった。 「そうだよなあ。そう思うよな。 オレも必死だったから説明する暇もなくって…… ほんと驚かせてゴメンな」 この日初めて、いや、暫くぶりに司は笑顔を人前に向けた。 「そういえば……」 ちょっと冷静になった司は、今までお互いの名前も知らずに、 この場所に居ることに気がついた。 「お前の名前聞いて無かったな。オレは司っていうんだ。 これでも風の民なんだぜ。ほら……この翼が何よりの証拠!」 ちょっとおどけて翼を羽ばたいてみせた。 それを見て笑うどころか、益々、体を強張らせ、 深い深い琥珀色の瞳を潤ませながら、 少女はゆっくりと口を開いた。 「私の名前? それをお知りになりたいの? 変わった方ね。国のものは……皆……姫様としか呼ばないわ」 そう言った後心の中で呟いた。 「月の王女。茜(アカネ)。それが私の名前」 しかし暫くの間を置いて、茜姫は夜空を指差して、 「あら……今日は十五夜だわ」 と話題をはぐらかした。 「名前を聞いちゃマズかったのか?」 気まずい雰囲気に、司の焦りは違う方向に突っ走って…… 「いや……名前は言いたくなったら教えてくれ。 それよりも……今は何だな……オマエ、腹減ってねえか? 少し寒くなってきたし、でもここじゃどうにもならねえや。 オレ達の村に来ねえか?」 普段ほとんど喋らない、 どちらかというと寡黙な司が、今夜は妙に饒舌になっていた。 月の力なのか……それとも……このお姫様のせいなのか…… 少しずつ、少しずつ、運命の扉が開きつつあった。 テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学 |
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