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王に急かされて……
葵はそれを首から外し、 カタバミの葉の中央部を開けてみると、 中には小さく畳まれた紙が入っていた。 「これを身につけし者は、 森の民の王女である!」 森の民の言葉でそれは綴られ、 最後に王族の花押が記してあった。 「アタクシは王女なのですね。 天涯孤独だと思っていたのに、 お父様、お母様がいらしたなんて……」 その後は言葉にならなかった。 王妃はたまらず走り寄って 王女をぎゅっと抱きしめ、 それを見ていた王も、 流れ落ちる涙を拭いもしなかった。 皆、王女との再会を見守りながらも、 この奇跡が未だ信じられない様子であった。 「本当にむごいことをするものだ!」 楓は王に成り済ましていた、 あの男の事を一人で考えていた。 ちょうどその頃…… 森の茂みに隠れて、 不思議な光を放つ暗赤色の目が、 じっとこちらの様子を伺っていた。 しかし、 この時それに気がつく者が、 誰一人居ないことを知ると、 その瞳の主はにやりと不敵な笑みを浮かべ、 何処かに消えてしまった。 テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学 |
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