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「司のヤツ、今度は、何処に行ったんだろう?」
そう呟いた後、紫から墨色に変わりつつある空に、 狼煙がゆらゆらと立ち昇るのが見えた。 「人間どもめ、また翼狩りをしようとしているのか? 危ない! 司が危ない!」 首からぶら下げていた翡翠のハト笛を、 椋は思いっきり吹いた。 それは飛行民族にしか聞こえない音のする笛で、 こんな風に危険を察知した時、 仲間に知らせるために使用するものであった。 その音は夜風に乗って谷を駆け抜け、 確かに司の耳にもハッキリと聞こえていた。 少女をそっと抱き寄せて、目を閉じ、 3……2……1……と空に向かって叫んだ。 ジジジ……ドゥギューン! パラサイト火縄銃の引き金を引いたのと同時に、 司と少女は、そこにはもう居なかった! 「何処に行ったんだ? これだけの包囲網だ。 そう遠くには逃げられんぞ。 探せ、探せ。もっと明かりを集めろ!」 その部隊を束ねる警備隊長は檄を飛ばした。 上昇気流に乗って、螺旋の雲の中を通り、 すごい速さで湖のほとりに二人は着地した。 さっきまでの緊迫感が嘘の様に、 虫たちの奏でる音色だけが夜を彩っていた。 テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学 |
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