届かない季節(翼の章)(31)
「白銀のあの方って……
覚醒されたって……
何か姫様はご存知なのですか?」
気になって仕方が無い藍花は、
姫が言い終えると、すぐに話しかけてきた。

「そうね……アナタたちは、
そういえば……面識がありませんものね。
白銀は楓という人物が放った光。
その方はアタクシの幼馴染ですわ」

「姫様の幼馴染なのですか?」
今度は紫苑が口を開いた。
「どうしてあの惑星に……
いらっしゃるのでございましょう?」

「さあ、それはアタクシにも、
どうしてなのか……わからないですわね。
けれども、何かの危機に接すると、
あの方の特殊能力が覚醒して、
その時に白銀の光が放たれるのを、
アタクシは見たことがあるのですよ」

そう説明しながら、
茜姫は楓との……ある出来事を……
昨日の事の様に思い出していた。

かつて二人で遠出をした時のことであった。
少し暗くなりかけていた帰り道。
突然、ゴツゴツとした全身棘だらけの、
硬い甲殻を持つ化け物が目前に現れ、
姫の喉下を目掛けて、
まさに喰らいつこうとした時、
白銀の光が一瞬のうちに、
あたり一面を昼間の様に照らしていた。

そして……
その光に驚いた化け物は、
さっきまでの凶暴な様子は、
何処かに消え失せて、
まるで赤子の様に大人しくなって、
楓のされるがままになっていたのだ。

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

【2008/05/06 15:09 】 | 届かない季節No.1(小説) | コメント(0) | トラックバック(0) |
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