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洞窟はヒンヤリとして、それが楓の不安を、
少しだけ和らげていた。 「藍花、飲ませたな?」 「うん、大丈夫よ。上手くいったわ」 その声は壁に反響して、 楓の耳にもハッキリと聞こえていた。 ダッダッダッ…… タッタッタッ…… 二人は楓に気がつくこともなく、 外に向かって全速力で駆け抜けていった。 「脱出成功! なかなか……やるじゃないか。 茜も行ったし、これでひとまず一安心だな」 二人の後を追いかけようと一歩踏み出した時、 楓の耳にうめき声が聞こえてきた。 ううう……あー……ううう…… 気になった楓は声のする方に近づくと、 目を覆いたくなる様な光景が、 そこには広がっていた。 鎖で繋がれながら何人もの地底人が、 ギイギイと音を立てながら、 歯車を動かしていたのだ。 あまりの光景にたまらくなった楓は、 彼らに駆け寄り声をかけた。 「これはどういうことだ? 私は月からやってきた使者である。 やめー。皆、手を休めるのだ!」 歯車の軋む音が徐々に静かになって、 ギィーーーといって止まった。 すると…… ジャラジャラと鎖の音をさせながら、 憔悴しきった一人の男が、 ふらふらと楓の方に近づいてきた。 テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学 |
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