「これは、これは楓様。
それにしても急なことにございますな。
でも王様は一番に楓様のことを、
信頼しておられるのですよ。
そうそう……この指輪をお持ち下され。
これがいざという時、
きっと役に立つことでございましょう」

そう言って、山吹は指輪を手に取って、
ブツブツと呪文を唱え始めた。
「これでもう大丈夫でございますよ。
くれぐれもお気をつけて……」
山吹に見送られて、
楓は薬草の館を後にした。

「これで必要なものは揃ったな。
茜には困ったものだな。
でもまだ14だし将来と言われても……
考えられないだろうなあ。
私だって、まだ先の事はわからない!」

静まり返った夜の暗闇の中に、
幾千万の星々が煌いていた。
森の木の上から街中に視線を落とし、
「私とは無縁のものだな……」
楓はそんな独り言の後に、
フゥーと深いため息をついた。

そして……
風向きが変わったのを確認してから、
見事な白銀の羽を輝かせて、
楓は茜姫のいる惑星を目指し、
漆黒の闇に向かって滑空していった。

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