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「のう、楓、姫が婚姻を嫌がって、
月を出て行ってしまってのー…… 今、紫苑と藍花に探させておるが、 まだまだ二人とて若い。少し心もとない気もする。 そこでじゃ…そちが後を追って、 三人を連れ帰ってはくれぬか?」 月族の王は夜風に当たりながら、 一人の父親の顔になって、そう言った。 「また茜も思い切ったことをしますね。 昔からだけれど……それにしても…… 月を飛び出すとは……正直、驚きましたよ」 苦笑しながら、昔の茜姫を思い出していた。 楓と茜姫は幼馴染であった。 といっても三つも離れていたので、 どちらかというと兄妹の様にして育った。 茜姫はいつも楓の後を『にいさまー』と、 慕ってついて来る様な少女だった。 「王様、わかりました。この楓にお任せ下され。 支度をすませ、すぐに出立致します故、 これにて失礼致します!」 そう言って深々と頭を下げて、すぐに薬草の館へと急いだ。 「山吹は居るか? 居ないなら勝手に入るぞ。 さてと……えーっと……妙薬、妙薬と…… おー……あった!あった! これとこれと……そうそう……これもだ! これだけ揃えば、恐らく何とかなるだろう」 整然と並べられた薬棚から楓は数本薬瓶を取り出し、 さらに厳重に封をして、次々に麻袋に入れていった。 そこへ魔女で薬師の山吹が、 ゆっくりと部屋の中に入ってきた。 テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学 |
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