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「んーー。
久しぶりに深酒をしてしまったようじゃ。 それにしても静かではないか。 誰か……誰か……これへ……これへ……」 すぐに侍従がやってくるところなのだが、 今日はいつもと様子が違っていた。 寝ぼけ眼をこらして初めて気がついた。 ここはこともあろうに…… 以前双子の兄弟が幽閉されていた、牢獄の中であった。 「何ということじゃ! 王である……わしが何でこんな所に居るのじゃ?」 事の成り行きが全くわからない地底の王は、 ひどく動揺してその場で叫び出した。 キーイ……ガシャーン。 カツーン……カツーン……。 その音は地底の王の前で止まった。 「これはお目覚めでございましたか。 父上殿! おはようございます」 目の前に現れたのは、楓であった。 「おう、楓、そなたであったか。良かった! 早くここから出してはくれぬか! 誰がこの様な悪ふざけをしおって……」 言い終わるか終わらぬうちに、 楓が、くくく……と突然笑い出した。 「楓、何を……何を笑っておる?」 わが子の不穏な笑いに少し戸惑いながら、 地底の王は話しかけた。 「いや、これは失礼! つい……父上、いえ……地底の王でも、 その様に動揺するのかと……思ったものですから……」 さきほどとは打って変わって、 ヒンヤリとした楓の声であった。 テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学 |
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