届かない季節(翼の章)(2)
空のグラデーションは益々茜色を濃くする。
もう夏のギラギラした日差しは、季節の金庫にしまわれた様で、
長い波長の光の線とススキの穂先が重なった。

「もう秋になっちまったんだなぁ〜」
深いため息をしながら、その長い銀色の髪を掻き上げた。
スミレ色の瞳は憂いを秘めて、
どうしようもなく切ない表情になっていた。

ガサッ……ガサッ……
「んっ……何だ?」
体をちょっと強張らせて音のする方にそっと近づいた。
するとススキの波間に小さな頭が見えていた。
「オイッ、そこで何やってるんだ?」
そういう司の声にビクンッとなって、
その小さな頭はこちらに向きを変え、
消え入りそうな声でこう言った。
「何って……」

その子の虹色の羽は夕景の中で一番美しかった。
そしてその顔を見て、司は思わず絶句した。
少年だと思っていた小さな頭は、
不思議な冠をつけた少女だったのだ。

「お前、どうしてここに居るんだ?
ここは、人間どもが住む場所との境界線辺りだぞ。
危ない場所なんだぞ。わかっているのか?」
ちょっと声を荒げて、司は少女に注意を促した。

恐る恐る顔を上げて、少女はこう言った。
「だって……飛び出してきたんですもの。
もう……何もかもイヤになって……」
今まで仕舞い込んでいた気持ちが弾けて、
司の胸に飛び込みひたすら泣きじゃくった。

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

【2008/04/24 17:53 】 | 届かない季節No.1(小説) | コメント(0) | トラックバック(0) |
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