「桃の木の下で」欠片(7)
「ん? 今、確かにお腹の鳴る音が!」
その声にルナの頬は敏感に反応して、
みるみる顔が紅潮していった。

「おおーーールナ様。
意識を取り戻されましたな。
良かった! 本当に良かった!」
ラビトは涙を流しながら、
思わずルナをぎゅっとハグしていた。

その大きな感嘆の声は、ジュピターの手を休ませ、
急いで階段を駆け上がらせていた。
「ハァハァ……今……何が……
起こり……ましたかい? ラビト様。
この婆にも……教えて頂け……
ま……せ……ぬか? ハァハァ……」
途切れ途切れに何とか言葉を繋いだ。

息の乱れが落ち着くのを待って、
ジュピターはベッドの傍らのイスに腰掛けた。
「ルナに意識が通い始めておる。これは奇跡!
ああー宇宙神は居られたのですね。
朝のお祈りをもう一度捧げなくては……」
ジュピターの目にも涙は光っていた。

「今度はまた違う声。深く優しい声。
震え? ひょっとして泣いているのかしら?
でも哀しみじゃない! むしろ……喜び?」
ルナは他人の感情を感じ取ることは出来たが、
自分の身体は動かないままであった。

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

【2008/06/30 15:07 】 | 桃の木の下で(小説) | コメント(0) | トラックバック(0) |
<<鼠先輩って何? | ホーム | にゃんともお江戸でござる!>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://fantasyhat.blog21.fc2.com/tb.php/227-df597484
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |