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「ルナ、僕だよ。覚えているかい?」
その言葉がルナの中で渦を巻き、 残響となって、いつまでも聞こえていた。 「誰? 私に話しかけてくるのは誰?」 二つの言葉は、お互いに近づこうと、 必死に手を伸ばそうとするのだが、 届きそうで届かない。 外見だけ判断するならば、 何も動かぬ人形にしか見えないルナであったが、 その内側では…… 熱を持った感情が密かに身体を温め始めていた。 階段を昇ってくる足音が聞こえてくる。 ギィー……古びた扉を開けると軋んだ。 「ルナ様……ルナ様……ラビトでございます。 お目覚めなのでしょうか? 今日は気持ちの良い天気でございますよ。 窓を開けましょうね。まずは爽やかな空気を召し上がれ!」 「えっ? 今度は誰なの? さっきの声とは違うわ。 とても優しい声。日差しの温もりを感じるわ。 でも、何か……とても遠い感じがする。 私は、今、何処に居るのかしら?」 身体の自由はきかないルナであった。 しかし、 「感じる事は出来る!」 自分の置かれている状況に戸惑いながらも、 その事だけがルナを安心させていた。 微風が頬を伝い、日差しの匂いを感じ、 そして…… ラビトが持ってきた焼きたてのスコーンが、 ルナの食欲を呼び寄せていた。 グググー……さらにお腹の虫も目覚めていた。 テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学 |
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