届かない季節(翼の章)(13)
「地球はどう考えてみても無理ですわね。
あれだけの残留放射能、たぶん……
アタクシの計算だと地球に到達して5分以内に、
皆さんはきっと息絶えることでしょうね」

「何ってこったいっ!」
絶望の淵に立たされ皆愕然としていた。
頭を抱えてうな垂れる者までいた。

「でも……皆さんが知らなくて、
アタクシが知っている惑星が存在するのです。
それは海球星です!」
その声は静寂を貫き皆の心を激しく揺さぶった。

「海球星?」
初めて聞くその惑星の名前に、
椋は何回も心の中で反芻していた。

「飛行民族の皆さんは、かつては……
地球人と一緒にあの地球で、
共存共栄で暮らしていらしたハズ。
母なる地球と呼ばれて久しいですわね。
そうは言っても今や地底の民によって、
地球人は“自分たちが、地球人である”
……という記憶さえ消され、その上、
彼らの下僕として生きることを強要されてしまって……
実に悲しい事ですわ。」

ちょっと茜姫の目が赤くなって、
その瞳からは一筋の涙が流れていた。
そして皆かつての自分たちの生活に思いを馳せていた。

しかし、
彼らの一人が、ついに、こらえ切れなくなって、
思わず外に飛び出そうとしていた……
まさにその時……
パッとその前に立ちはだかった者がいた。

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

【2008/04/30 09:21 】 | 届かない季節No.1(小説) | コメント(0) | トラックバック(0) |
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