「桃の木の下で」欠片(2)
「ははは……その後、どうなったのさ?
そのカワイイ子は、戻ってこなかったのかい?」
ソル婆は、自分も一緒に旅をしている気分になって、
ホップの淡い恋物語に夢中になっていた。

「そうですなー。私の気持ちに気が付かないまま、
何処かへ消えたのですよ。まぁ縁があれば、
運命の糸は繋がっているでしょうが。
希望は捨てませんが、また新しい出会いというやつも、
楽しみにしているんですよ、私は!
あっ……気が多いだなんて思わないで下さいね」

ホップは、玄関に入った時から、
何か不穏な空気を察知していた。
さっきのジュピターとラビトの行動。
それに……
虚ろな目をしてソファーに腰掛けていた少女。
その事が頭の中に引っかかっていたが、
努めて笑みを絶やさなかった。

「その釘を刺した言い方が何より怪しいねー。
若いうちに色々経験はしておくものさ。
その何もかもが、その後の自分の栄養になるというもの。
この婆だって……若い頃はモテたものさ!
まっ……証明する者は誰も居ないわけだが……
ははは……」

「しかと心に刻んでおきましょう! ははは……」
ソル婆はホップの話の世界で、
自由に楽しく語らっていた。
そこへラビトとジュピターが、
二階の寝室から静かに下りて来た。

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

【2008/06/26 16:19 】 | 桃の木の下で(小説) | コメント(0) | トラックバック(0) |
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