届かない季節(翼の章)(12)
長老の言葉に……
一瞬、その場がどよめいた。
「生き抜くために、これからどうするのか……」
今まで心の片隅に置きざりにしていた難問。
しかも、すぐに結論を出さねばならないのである。

皆腕組みをしてじっと考え込んでいる。
その静寂を破って椋が口を開いた。
「行く場所は……あそこしか残っていない!」

そう言って指差した方角には、
かつての青い神々しい姿形とは、
似ても似つかない……
不気味な地球が……
太陽光によって今の姿を露にしていた。

「何だって! 無謀だ!
今だって残留放射能は危険レベルのままだし、
飛行民族に対する影響だって、
どんなものか誰も知りえないんだぞっ!」
そんな意味の言葉たちがザワザワとした渦となって、
椋の周りを取り囲んでいた。

「簡単ですわっ!」
その言葉に一斉にシーンとなって、
さらに声の主を壇上に誘う様に、
みんなが道を開け始めた。
それは小さな茜姫の声だった。

「何だ? あの姫様、また荒唐無稽なことを……
いや……月族の者にしか知りえない……
何か秘策があるというのか……」
期待と不安、そして動揺を隠せない司は、
前に進む茜姫の後を慌てて追いかけた。

「まさか思いつきで言ってるんじゃ無いよな?」
茜姫の後ろから早口で司が尋ねた。
「あら、信用していないんですのね。
でも……惑星の事なら、たぶん……
アタナより詳しいハズですわ」
そう言ってフワリと壇上のイスに腰掛けた。

「何を話すのか……」
そんな皆の視線を熱く感じながら、
茜姫はゆっくりと話し始めた。

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

【2008/04/30 09:19 】 | 届かない季節No.1(小説) | コメント(0) | トラックバック(0) |
<<届かない季節(翼の章)(13) | ホーム | 青天のお歴々>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://fantasyhat.blog21.fc2.com/tb.php/21-e83a57f2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |