届かない季節(翼の章)(1)
ばさっ……ばさっ……
司(ツカサ)は無言で何処かへ飛んでいってしまった。
「いつもの気紛れだろう?」
そう呟いたのは、悪友の椋(リョウ)だった。
いつだってアイツはそうなんだ……。

雲間から一直線に落ちている光の束。
その先の陽だまりに……司は居た。
そこは人間達も立ち入らない……
まだ草いきれの残り香もする……
彼のお気に入りの場所であった。

「なあ〜……何か面白いことねえか?」
大の字に寝転がった司が、
翼を休ませ、汗を拭いている椋に話しかけてきた。

「そんなの知らないよ」
ちょっとぶっきらぼうに答えてはみたものの……
根が真面目な椋はしばらく考え込み、腕組みをしている。
「今だって充分面白そうに見えるけど……
これ以上何を期待してるんだよ?」

「はっ? オマエ、今、何て言った?」
ガバッと起き上がって、椋の顔をまじまじと見つめた。
オレの何処が面白そうなんだよ。フザケンナ!
毎日が退屈で……退屈で……
そのループから逃げ出したいオレなのに……。

「いや、司はいつも楽しそうにしているからさ。
僕と違ってね……好きな事していて自由……」
まだ言い終わらないうちに、
司はぷいと何処かへ飛んでいってしまった。


テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

【2008/04/24 17:46 】 | 届かない季節No.1(小説) | コメント(0) | トラックバック(0) |
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