届かない季節(漂流の章)(23)
蛍は闇夜の中を滑空していた。
「今宵はちょっと風が強いな……」
そう呟きながら、
火山辺りに差し掛かった時、
数百メートルに渡って続く隊列が、
動いているのを火山の麓に見つけた。

「ひょっとして……
あれが火の民なのか?」
ひとまず蛍は降りてみることにした。
そして森の茂みにパッと隠れた。

その麓には多数の影が蠢いていた。
焚き火の揺らめきの中で、
その影は大きく映ってみえたが、
実際には月族の半分くらいの……
大きさにしか見えなかった。

「それにしても機敏な動きだ。
あの中には長は居るのだろうか?」
そう思って、つい顔を伸ばした時、
背後から硬い何かで殴られ、
蛍はその場で気を失ってしまった。

「おい、こいつ誰だ?
ここの者じゃねぇーよな」
大きなこん棒を肩にあてながら、
隣の相棒に聞いてみた。

「いや、知らねぇーなぁー。飛行の奴か? 
あっ……羽つけてんぞー……違うなぁ。
ん? こいつ……追放印がついてるぞ。
なんかやったのか?」
二人で蛍を取り囲みながら、
それぞれの意見を言い合っていた。

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

【2008/05/25 21:55 】 | 届かない季節No.2(小説) | コメント(0) | トラックバック(0) |
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