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椋は目を閉じて、風のそよぎに耳をそばだてていた。
「無事飛んだ様だな。良かった。」 まだ日向の匂いが残っている草原にドサッと腰を下ろし、 最近頻繁に行われている翼狩りに 言い知れぬ不安を感じ始めていた。 「そろそろここも危ないな。 もっと安全な処へ移動しなければ…… そして……こいつも……」 そう呟いて、萎びた皮袋の中身を取り出した。 それは亡き父から受け継いだ、 見事な装飾が施された首飾りだった。 「お前が生まれて20年経った満月の晩に これをかざして見るがいい。 決して人間どもの手に渡してはならぬぞ!」 この言葉だけを残して父は息を引き取った。 椋の父は風の民の長(おさ)であった。 勇敢で民からの信頼も厚く、 多忙ゆえにあまり家族を顧みる事はなかったが、 それでも自慢の父親であった。 「20年って言えばあと3年か。 何が起きるというのだろう?」 好奇心と未知への畏怖、そして未来への希望。 混沌とした今に風穴を早く開けたかった。 「おぉ〜い、椋! さっきはアリガトな。お陰でまだ生きてるぜ! あっ、この子?説明はあとあと。 腹減ってもう動けねえや。 婆や、急いで何か暖かい食べ物を持ってきてくれ!」 あまりに饒舌な司の様子に皆少し戸惑っていたが、 「かしこまりました。司様、すぐにお持ち致しますね」 そう言って婆やは奥に消えてしまった。 テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学 |
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